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[Books]奇跡のリンゴ

これは単なる農業の話ではなく、起業です。それも既存の常識を劇的に転換した、革命的な出来事を青森の片田舎のリンゴ農家がやったという、とんでもない物語なのです。主人公は木村秋則さん、歯がまったくない、でもいつも笑顔なおじいさんです。


奇跡のリンゴ
石川 拓治, 「プロフェッショナル仕事の流儀」制作班
幻冬舎 ( 2008-07 )
ISBN: 9784344015449
おすすめ度:アマゾンおすすめ度



本を読む【Before】
・リンゴなんて変わり映えしない果物で何が奇跡なんだろう?
・農業だから、まぁ将来的には関わることはあっても、今すぐ必要な話ではないか。

本を読んだ【After】
・これは、農業だけではなくてすべての働く人たちが読むべき、人生譚だ!
・常識を打破するところに、新しいビジネスが生まれる。起業家として、勇気づけられた。


まず前提の知識として知っておいてもらいたいことは、リンゴの栽培過程において農薬が不可欠となっている“常識”です。リンゴは18世紀はみかん程度の大きさで、酸っぱかったり固かったり、それほど好まれて食べられていたものではありませんでした。それが明治時代に西洋リンゴが入ってきて品種改良が加えられ、現在のような甘い大きな果実になったということです。そんな甘い大きな果実を害虫が放っておくわけがありませんから、農薬を使わざるを得ない果物として「無農薬のリンゴ」は不可能であるというのがこれまでのリンゴ農家の常識でした。

木村が経験したことは、すでに100年前の先人たちが経験していたことでもあった。はっきり言ってしまえば、焼酎やワサビを散布したくらいで対処出来るなら、誰も苦労しない。明治20年代から約30年間にわたって、全国の何千人というリンゴ農家や農業技術者が木村と同じ問題に直面し、同じような工夫を重ねてきた。何十年という苦労の末に、ようやく辿り着いた解決方法が農薬だったのだ。



この辺りの試行錯誤に関する取り組みは、起業家と共通するものです。あるアイディアを思いつくと、それは世の中を変える画期的なものだと安易に考えてしまうのはおいら自身も経験のあることですが、世の中には同じようなことを考えている人は絶対に存在します。それがなぜ出来なかったのか、結局現状はどうしてこうなっているのか、そのような形でゼロベース思考まで到達しなければいけないという示唆に富んでいる内容です。

肥料というものは、それが化学肥料であれ有機肥料であれ、リンゴの木に余分な栄養を与え、害虫を集めるひとつの原因となるということだ。肥料を与えれば、確かにリンゴの実は簡単に大きくなる。けれど、リンゴの木からすれば、安易に栄養が得られるために、地中に深く根を張り巡らさなくてもいいということになる。運動もロクにしないのに、食べ物ばかり豊富に与えられる子どものようなものだ。



リンゴの果実はそのまま人間にも当てはまります。我々は豊かな経済社会を手に入れて果たして幸せになったのか?幸せと胸を張って答えられる人がどれだけいるのでしょうか?ここまでの考えに至るまでに、木村さんは40年間の壮絶な試行錯誤を行なっています。『私はリンゴの葉と、自分の歯を引き替えにしたんです』と語る木村さんの姿に、読者は感動を覚えることでしょう。機会があれば、木村さんのお話を聴きに青森まで行ってみたいものです。

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