「社会を変える仕事」という選択

2007年12月05日 00:00 |[あとで読む]

努力して、よい中学に入って、よい大学に入って、よい会社に入れば幸せになれる。そう言われて中学受験から就職活動まで、ずっと先の将来を夢見てきた我々の前に待っていた21世紀は、不景気から始まりました。就職氷河期では就職に苦労して正社員にすらなれず、正社員になったとしてもリストラの業務リソース不足のしわ寄せで馬車馬のように働かされ、未来にもらえるはずの年金もないような現実が現在の20代後半〜30代前半を待ち受けていました。








この本はそんな私と同じ世代の若者が、ITベンチャー社長を経て病気の子供を預かる「病児保育サービス」のNPOを始めた経緯について描かれています。ITベンチャーを経営しているけれども、決してIPOで一財産を築いて六本木ヒルズで暮らして外車を乗り回すような願望はなかったという筆者が、等身大の言葉で自分が社会に対して何をしていきたいのかを問い続け、行動した物語が書かれています。


一貫した上昇志向を持ち続け、大企業や官庁で出世していく生き方はある意味レールに乗っていて、ただその組織において評価されるような要領を会得していけば収入もステイタスも上がっていきます。そのようなモーレツサラリーマンな父親の姿を見てきた我々の世代にとっては、高収入もステイタスもそれほど魅力的には映らなくなっています。


社会起業家、ソーシャルベンチャーと呼ばれる若者たちの動きは、アメリカではすでにかなり活発になっています。代表的な存在であるビル・ゲイツは、自らの資産を慈善事業に寄付しましたし、GoogleはITで得た収益をグリーンエネルギーの開発に費やす方針です。シリコンバレーで財を成した起業家たちは軒並みソーシャルベンチャーを立ち上げ、自らの能力と資産を社会的意義のある目的に対して発揮しています。


そのような流れがようやく日本にも根付いてきて、社会起業家という新たな成功方式が生み出されました。一昔前のホリエモンのようなIT起業家はすでにトレンドではなく、エコや福祉の分野で自らの意志で活躍するアントレプレナーが人間としても尊敬できる存在として学生などの目標になっています。実際に銀行の内定を辞退して飛び込んできた新卒や、年収1,000万のコンサルタントの参画など、この本には自らのベクトルを自らの意志で変えた輝かしい人々が描かれています。



右肩成長による20世紀型の成功方程式を捨て、持続可能な21世紀型の成功方程式を我々の世代は見つけようとしています。まず自分の周りから、住んでいる街から、自分たちがアイデンティティを保てる環境に変えていくことがいずれ世界や地球まで住みやすくしていくと思うのです。



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