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[ビジネス]冷静と情熱のあいだ

百貨店が潰れたら、ケーキを売ればよいのに

今年度からのバイト先の社会学部の学生に経営学を教えていて、あまりにナイーヴすぎるんじゃないか、と思うことがありまして。
「百貨店という業態はある時期、例えばHanako世代という世代に対応して衣料品販売業態を構築したら、その世代を常連として囲い込んだ分、若者からは「おばさんが服を買いに行くところ」というイメージもついてしまった



こんな百貨店の経営の失敗に対する学生のリアクションとして、下記のような感情論に基づいた「かわいそう」というコメントが多かったそうです。経営学という学問を大学という高等教育で学んでいる学生が発したコメントです。

「でもそうやって百貨店がおばちゃんくさくなって売れなくなったら、百貨店がかわいそうじゃないですか。」という意見。
これまであちこちで教えてきて、「競争で負けた組織はかわいそうだ」ということをコメントされたことは初めてでした。
実際に存在する競争という現象を、そしてそこでの優位劣位を、かわいそうとかかわいそうじゃないとか、善悪とか、そういうものにいきなり結びつけてしまう。それを論じたらなにか成果があるんだろうか。そこで感情を論じずに、どうしたら市場で生存できるかを、対処可能性を論じるのが経営学だよ、百貨店だって、今日を予期して手を打っていたところはまだしもそこまで窮地には立っていないでしょう、と対応はしましたが。



百貨店がかわいそう=従業員はボーナスも出なくて、モチベーションが上がらなくてかわいそう ということでしょうか。いずれにしても、この安易な同情には思考停止の感じがします。この「かわいそう」というコメントには、「パンがなければケーキを食べればよい」と同様の、問題点を直視せずに自分の価値観で断定する傲慢さが潜んでいます。競争に負けた組織は相対的に負け組だから、同情の対象になるという上から目線です。


少なくともこの経営学の講義で求められているのは、百貨店がかわいそうというNHKのノンフィクション特集に出てきそうな同情論ではなくて、そのような状態に陥らないための経営学的な予防措置と、そこからV字回復するための対症療法を考えることです。百貨店を擬人化して置かれた立場に想像力を発揮している場合ではないのです。

また、別の回に、資源の有限性がその合目的的な最適配分を促し、戦略性やリーダーシップや組織内の規範意識も意思決定も価値判断もそこから始まる、ということをわかりやすく説明したくって、四川の震災のニュースを挙げてトリアージの概念を説明した。絶対的に医療資源が不足しているところでは、「もう助かりそうにない患者」と「患者自身が処置したら大丈夫な患者」はカテゴライズして分けて、その間の「治療しなければ助からないが治療すれば助かるかも」というところに有限の医療資源を配分する、というシステムがあるんだよ、ということを説明したら、やっぱり女子学生のかなりの部分から「かわいそうだ」という反応があった。

これ、「トリアージの判断をしなければいけないお医者さんたちもつらいだろうな」というのではないんですよ。そうでありつつ、でもひとりでも多くの人を助けようとしたら、そこで考えなければいけないんだろうな、それを「戦略性」とでもいうのでしょうか?と聞いてきた男子学生には、僕は巧くコンセプトが伝わった、その通り!と褒めたい感じですが、「可哀想じゃないですか致命傷の人を見捨てるなんて」。でもそういう非常事態では、特に医療資源は有限だからこそ、適切に配分しなければならないという考えなんだよ、とくどく説明した。

「そんな重傷者をもう助けないなんてレッテルを貼るなんて、人権侵害じゃないですか?」と書いてきたお嬢さんもいた。そりゃあ、この大学のOGが、福祉業界に入って数年で燃え尽きてしまうというのは当たり前だよこれじゃ。この人たちの目に映るのは「目の前の最善」だけで、「全体や組織から見た最適」というのはコンセプト自体が頭の中にないのだ。いや、こちらはできるだけ冷静に、穏和に説明したつもりなんだけどなあ。



トリアージの是非はさておき、我々の日常生活においても有限なリソースである時間を「目の前の最善」で浪費してしまうケースは多いですね。今日は子どもの誕生日だけど、部長に頼まれた書類を作成しなければ怒られるなんて価値観で残業しているサラリーマンはたくさんいます。恐らくその人にとっては「子どもの誕生日を一緒に祝うこと」はもちろん「部長のご機嫌を損なうこと」よりも大切なのでしょうが、実際に目の前に仕事があって部長が座っていたりすると、どうしてもそちらを優先してしまうのが人間というものです。


その場合の戦略性として、部長から仕事を頼まれる段階で「今日は子どもの誕生日で早く帰りたいのですが、これはいつまでに作成すればよいですか」と交渉したり、完璧に書類を作成しようとせずにある程度ドラフトが出来上がった段階でお伺いを立て、ボールを部長に戻してしまうといったテクニックが考えられます。


企業が競争に破れる主因としては、従業員のモチベーションの欠如であったり、そもそもの事業の目的付けが曖昧であったりすることが多いです。つまり、メンタルな部分に起因するケースが多いわけで、「かわいそう」という感情と同様の「部長は分かってない」とか「何のために仕事しているのか分からない」といった従業員のストレス感情の総和が企業の競争力を低下させています。


人間が感情の生き物である限り、一朝一夕に対処できる問題ではないでしょう。それでもオイラ自身は自分の目の前に見える範囲で、善悪ではなく代案を示すような考え方で関わっていきたいと思っています。そしてそれを受け入れてくれる人たちに対して優先的にオイラの時間を提供していくことが、個人的なトリアージなのです。


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